1. 見積から粗利まで、1件の加工案件で見たいと感じたことはないでしょうか

受注したあとに、見積の顧客や明細を別の表へ転記する。まとめて仕入れた材料の金額を、案件ごとに振り分けられない。粗利は、仕入れと加工費を後から集めて計算する。受託加工のお仕事では、こうした場面に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。

課題編では、受託加工の会社で案件ごとの粗利が見えにくい理由を書きました。お客さまが求めたのは、営業が取ってきた商談ごとに加工案件を作り、1件の加工案件で顧客から粗利までを見る形です。

本記事では、HeyKnotがお客さまの業務の流れを聞き取って決めた、Zoho CRMの組み方の4つの方針を解説します。方針ごとに画面を見ながら、組んだ形とその理由をお伝えします。なお、画面の会社名と金額は置き換えています。

1.1 4つの方針と、解決したい課題

課題

組んだ形

受注のあとに、見積の顧客や明細を別の表へ転記する

見積の画面のボタンから加工案件を作り、内容を引き継ぐ

まとめて仕入れた材料の金額を、案件ごとに振り分けられない

案件ごとに使った数量と金額を、仕入明細に割り当てる

粗利は、仕入れと加工費を後から集めて計算する

原価と粗利の欄には手で金額を入れず、記録から計算する

2. 方針1:見積から加工案件を作り、転記をなくす

2.1 ボタン1つで、見積の内容を引き継ぐ

1つ目の方針として、加工案件は見積から作る形にしました。受注した見積の画面で「加工案件へ引き継ぐ」ボタンを押すと、加工案件ができます。顧客・商談・元の見積・販売明細・担当者・発行日には、見積の内容が入る仕組みです。

見積から作った加工案件の画面。顧客・商談・見積と、商品・数量・単価の販売明細が自動で入る

見積と加工案件を別々に入れる作りにすると、受注のたびに顧客名や明細を入れる作業が残ります。課題編で書いたとおり、転記は忙しい月ほど抜けていくものです。見積を加工案件の出発点にしたので、営業が見積に入れた内容を、加工と原価の担当者がもう一度入れずに使えます。

2.2 作れるのは、承認済みで採用された見積だけ

加工案件ができるのは、承認済みで採用された見積からだけにしました。比べるために作った見積や、承認前の見積からは作られません。

💡同じ見積でボタンを2回押しても、加工案件は1件のままです。2回目は、できている加工案件を案内します。

3. 方針2:仕入れは案件に割り当て、二重に数えない

3.1 案件の仕入明細に、1行ずつ記録する

2つ目の方針として、仕入れは案件に割り当てて記録します。加工案件の「案件の仕入明細」には、商品・仕入れ・仕入先・使った数量・仕入単価・案件で使った金額を1行ずつ入れる形です。

3.2 1回の仕入れを、複数の案件で使うとき

材料は、いくつかの案件の分をまとめて仕入れることがあります。1回の仕入れを複数の案件で使うときは、案件ごとに使った数量と金額を割り当てます。各案件の原価に入るのは割り当てた金額だけなので、同じ仕入れの金額が2つの案件で重ねて数えられることはありません。

3.3 仕入先は、一覧から選ぶ

仕入先は、仕入先の一覧から選ぶ項目にしました。名前を文字で入れると、同じ会社が別の書き方で何件も登録されてしまいます。一覧から選ぶ形なら、仕入先の画面を開くだけで、仕入先ごとの仕入れの履歴を案件をまたいで確かめられます。

4. 方針3:原価と粗利は、記録した金額から計算する

4.1 手で入れず、記録から入る

3つ目の方針は、原価と粗利の欄に手で金額を入れないことです。仕入原価は仕入明細の金額から入り、自社加工費と外注費は加工の記録から入ります。案件原価は仕入原価・自社加工費・外注費の合計で、粗利は販売金額の合計から案件原価を引いた金額です。

加工案件の画面。仕入原価・自社加工費・外注費が自動で入り、原価合計と粗利が自動で計算される

自社加工費と外注費は欄を分けたので、社内の加工にかかった金額と外注先に払う金額を、案件の画面で別々に確かめられます。

4.2 金額が合わないときは、計算を止めて知らせる

計算は、加工案件の「原価・粗利を再計算」ボタンで行います。仕入れの金額と、案件に割り当てた金額が合わないときは、計算を止めて知らせる作りです。割り当てに漏れがある案件は、粗利が出る前に担当者が気づけます。

5. 方針4:加工の進み具合を、カンバンで並べて見る

4つ目の方針は、加工案件の一覧を、加工前・加工中・納品済の3列のカンバンで見ることです。カードには売上と粗利が出るので、案件を1件ずつ開かなくても、案件ごとの進み具合と粗利の見込みを一覧で確かめられます。

加工案件のカンバン。加工前・加工中・納品済の列に並んだカードに、売上と粗利が出る

お客さまの業務には、仕入れのあとに加工の順番を待つ時期があり、加工前の列には仕入れが済んで加工を待つ案件が並びます。列の区切りには加工案件の進捗の項目を使っており、担当者が進捗を変えるとカードは次の列へ移ります。

6. 在庫管理は、あえて入れなかった

倉庫の在庫の残数や棚卸しは、今回の範囲に入れていません。お客さまが求めたのは、案件ごとの原価と粗利を見ることだったからです。

案件に使った材料の数量と金額は、案件の仕入明細に記録します。粗利を出すのに要る数字は、在庫を管理しなくても加工案件にそろいます。

7. HeyKnotが受け持ったこと

HeyKnotが受け持ったのは、お客さまの業務の言葉を聞き取り、Zoho CRMの画面と項目に置き換える作業です。お客さまの話す案件と仕入れと加工の待ちを、加工案件の画面と案件の仕入明細と進捗の項目に当てはめました。

組み上がった画面では、顧客や明細は見積から引き継がれます。仕入先は一覧から選び、原価と粗利は計算で出ます。担当者が手で入れるのは、仕入れの割り当てと加工の記録と進捗の3つです。

まとめ

今回は、受託加工のお客さまのZoho CRMに組んだ、加工案件の4つの方針をご紹介しました。見積から加工案件を作り、仕入れは案件に割り当て、原価と粗利は記録から計算し、進み具合はカンバンで見る。この組み方で、1件の加工案件に顧客から粗利までがそろいます。

効果の数字はまだ出ていないため、記事には書いていません。

設定の手順を知りたい方は、詳細編をご覧ください。タブの組み方・ボタンの関数・計算の式・仕入明細の項目をまとめます。