なぜCRMの構築より「業務の再設計」に時間をかけるのか
CRMの導入支援は、CRMの設定から入ることが多いと思います。HeyKnotでは、CRMの項目やステージを設定するのは支援の後半です。前半は、見込み客の獲得から受注後の対応までの流れを書き出すことに使います。書き出しには、お客様の営業責任者、現場のリーダー、マーケティング担当者、情報システム担当者に集まっていただきます。この方々を、私たちはコアメンバーと呼んでいます。
設定から入る進め方が間違いだとは思いません。それでも業務の流れを先に決めるのは、支援が終わった途端にCRMが使われなくなることを、私たちがいちばん避けたいからです。流れが固まってから設定したCRMのほうが、支援のあとも現場で使われると考えています。
この記事でわかること
- CRM導入支援は何から始めるのか
- 設定の前に「流れ」と「項目」を決める
- 独自の業務フローを残すか消すかの決め方
- AI時代に標準へ寄せる理由
営業とマーケティングで見込み客の数が合わない
たとえば営業部門は名刺交換をした人を、マーケティング部門は資料を請求した人を、どちらも見込み客と呼んでいる会社があるとします。この状態で見込み客の数を聞くと、二つの部門から別々の数字が出てきます。同じ言葉で、違うものを数えているからです。
定義をそろえてから設定に入れば、見込み客の件数は営業とマーケティングで同じ数字になります。両方の部門が同じ画面で同じ意味の数字を見られるので、部門をまたいだ話し合いがかみ合うようになります。
CRMの項目やステージも、こうした業務の流れに沿って決まります。商談の段階が決まっていれば、ステージは段階の数だけ作ればよく、段階ごとに入力する項目も自然に決まります。だから設定の前に、見込み客とは誰のことか、商談になる条件は何か、受注までに何段階あるかを、コアメンバーと一緒に決めます。
特殊だと思っていた業務も大半は標準の型に収まる
業務の流れを書き出したら、次にHeyKnotの標準の型に当てはめます。標準の型とは、見込み客の獲得から受注後の対応までの流れと、各段階で入力する項目をひとまとめにしたものです。
書き出しの場では、「うちの業務は特殊なので」というお話をよく伺います。ところが実際に並べてみると、特殊だと思われていた業務の大半は標準の型に収まります。型から外れるのは、多くの場合1つか2つの工程だけです。
先に標準の型に当てはめて、当てはまらない工程だけを取り出す順番で進めると、独自に作る項目やステージは、最初に想定していたよりずっと少なくなります。項目が少ないほど、現場は入力を続けやすくなります。
標準から外れた工程は残すか減らすかを話し合う
標準に収まらなかった工程は、独自のステージとして残す前に、本当に必要なのかをコアメンバーと一緒に確かめます。
たとえば製造業の法人営業で、見積のあとに技術検証があるという工程が残ったとします。話し合ってみると、技術検証は受注に直結するのでステージとして残そう、と決まることがあります。反対に、以前の担当者が続けていただけで今は必要ないとわかり、工程を減らせることもあります。
標準の型に沿っておけばCRMのAI機能がそのまま使える
CRMに組み込まれているAIの機能は、標準的な商談の段階と項目を前提にしています。商談の要約も、次の行動の提案も、受注見込みの計算も、標準の型に沿ったステージと項目であれば、手を加えずにそのまま使えます。独自のステージが多いと、AIの機能を使う前に手直しが必要になります。
自分たちで決めたステージは支援のあとも守られる
工程を決め終えるころには、参加したメンバーが、見込み客とは誰か、商談は何段階かを同じ言葉で説明できるようになっています。営業責任者が感覚で使っていた受注の判断基準が言葉になり、現場のリーダーはその基準で自分の案件を話すようになります。
自分たちで決めたステージと項目は、支援期間が終わったあとも守られます。支援のあと、CRMに入力し、レポートを見て、次の商談を決めていくのは、一緒に工程を決めたコアメンバーだからです。
だからこそ私たちは、CRMを作るのとあわせて、お客様が自分たちで業務の流れを決められるようになるところまでを支援しています。CRMが現場に根づくかどうかは、設定を始める前、コアメンバーと業務の流れを決めている期間にほぼ決まっていると考えています。