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エグゼクティブインタビュー

ゾーホージャパン執行役員が描くZohoの未来 — 服部英喜氏インタビュー

2026.03.18
ゾーホージャパン執行役員が描くZohoの未来 — 服部英喜氏インタビュー
監修者
ライター名

プロフィールや実績など...


イントロダクション

「誰もが適正価格で使えるプラットフォーム」を提供し、顧客の課題解決に伴走し続けるゾーホージャパン株式会社(以下ゾーホー)。CRMのトッププレイヤーとして知られる同社を、2025年より営業部門統括として牽引する服部氏に、ゾーホーという組織、その未来について伺いました。

*本記事ではゾーホージャパン株式会社を「ゾーホー」、クラウド型ソリューションの製品名を「Zoho」と記載しています。

1992年 日本アイ・ビー・エム株式会社入社。エンタープライズ事業営業部長、デジタルセールス事業本部長を歴任。
2021年 株式会社ワークスアプリケーションズ ・エンタープライズ 執行役員 営業部門担当に就任。営業部門を統括。
2025年からゾーホージャパン株式会社にて執行役員 事業部長として営業部門を統括し、現職。

──まずは、服部さんご自身、そして統括している領域を教えてください。

服部:Zoho製品を日本市場でお客様に販売する営業組織を統括しています。ソリューションを知ってもらうための営業施策、パートナーエコシステムの活性化のための組織改革など、守備範囲は多岐にわたりますね。もともとはIBMでセールスをやっていて、当時言葉もなかったインサイドセールスやパートナービジネス、マーケティング、ソフトウェア、ハードウェア、コンサルティング、システムインテグレーションの販売、営業統括もやってきました。最終的に28年在籍しています。また、次の会社では営業統括責任者として会社組織の立て直し、V字回復をリードさせていただく経験をさせていただきました。

──営業のエキスパートでありつつ、幅広いポジションを経験されているんですね。

服部:様々な立ち位置でビジネスを経験してきて、結局のところ、仕事の根幹は「お客様の経営や事業状況を的確に捉え、潜在的な課題を見つけ出して、具体的な解決策を提供する」ことに尽きるということです。

大きな組織特有の、全方位(社内)を見て仕事をしなければならない大変さも、身に染みて経験してきました。だからこそ、「純粋に目の前のお客様にフォーカスできる環境」がどれほど重要で、価値があるものか、骨身に染みてわかります。

「顧客」に向き合う製品群とカルチャー

──会社としてのゾーホーについて教えてください。

服部:グローバルで1万9,000人以上の従業員を擁する企業で、今年で創業30周年(2026年2月)、日本法人は25周年(2026年9月)を迎えます。
ビジネスプラットフォームとしてCRMを中心に複数アプリを統合した「CRM Plus」、コラボレーション基盤の「Zoho Workplace」、人事・労務管理の「Zoho People」、そして統合型ビジネスプラットフォームとしてAll in One Packageとした「Zoho One(ゾーホーワン)」などを提供していますが、実はIT運用管理のソフトウェア「ManageEngine(マネージエンジン)」が会社の原点なんです。

──ゾーホーはCRMの印象が広く知られていますが、幅広いソリューションを提供されているんですね。

服部:そうですね。Zoho Oneには50以上のツールがバンドルされています。この多様なツール群が連動する「ビジネスプラットフォーム」であるところに、一番の価値があると思っています。例えるなら「百貨店」なんです。お客様のビジネスに必要なものが、Zoho製品群の中に全部揃っている状態です。

中心になるのはやはりCRMですね。これを軸にマーケティングオートメーションやカスタマーサポートツールとも連携できますし、もちろんCRMとしても良い機能が備わっています。今ゾーホーとして注力しているコラボレーション基盤の「Workplace」や人事・労務管理の「People」など、本当に幅広い領域をカバーしているんじゃないでしょうか。

──他に類を見ない製品群の広さだと思います。プロダクト開発にはどのようなこだわりがあるのでしょうか?

服部:『お客様の課題解決に繋がるかどうか』にこだわり、全て自社開発しています。エンジニアが社員の大半を占める企業ですから、製品への熱量は非常に高いですね。

我々の根底にあるのは、他社との機能比較で競うことではなく「その機能で、本当にお客様の課題が解決するのか?」という視点です。例えば、比較検討であれば「特定の機能の有無」に目が向きがちですが、その機能が本質的な課題解決に繋がらないのであれば開発は行わない方針です。機能が増えればその分、製品の価格への影響もありますからね。コア機能を慎重に開発するようにしています。

──お客様の課題解決にこだわる姿勢は、現場の組織やカルチャーにはどのように表れているのでしょうか?

服部:純粋に目の前のお客様の力になりたい、どうやったら力になれるかを自然と考える、温かい文化が根付いていると思います。優しい人が多いんですよね。

私自身が腹をくくって「この会社を伸ばしたい」と思えたのは、この純粋なカルチャーがあったからです。 社内を見て仕事をするような環境だと、目の前のお客様にフォーカスするよりも全方位を見て仕事をしなければならない。すごく大変じゃないですか 。

真摯にお客様と向き合うからこそ、潜在的な経営・事業課題を的確に見つけ出し、柔軟な思考で具体的な解決法を提供できているのだと考えてます。私たちは単なるCRMやプロダクトの会社というよりも、「お客様の課題に寄り添い続ける会社」だと考えています 。お客様の課題解決をデジタルでやっていきましょう、というスタンスで進めていますね 。

誰もが使える価格へのこだわり

──Zoho製品の「価格」に驚かれるお客様も多いのではないでしょうか。

服部:そうですね。特にZoho Oneは、全従業員が利用するのであればCRM単体よりも安い価格で提供していて、私から見ても「今の5倍ぐらいの値段で売れるよ」って思うくらいの価値はあると思います。(笑)

私たちは誰でも最先端のツールを手にできる状態を「ソフトウェアの民主化」と掲げています。プライシングにもゾーホーの根底にある思想がしっかり表れていると思いますね。 プロダクトページにも「求めやすい適正価格で」と書いているのですが、「高くて買えない」ではなくて、「これなら買えるね」と皆様に使っていただきたいという思いが強くあります。今はSMB(中堅・中小企業)の領域を中心に強みを持っていますが、そういったお客様にも広く使っていただける価格帯を目指していますし、そこからさらにエンタープライズ領域へも価値を広げていきます。

──CRM市場が高性能高単価にシフトしていく中、そのスタンスを維持できる理由はどこにあるのでしょうか?

服部:「非上場」を貫いていることが大きいです。株主の意向などで無理なマネタイズに走る必要がないため、この適正価格を維持できています。他社は元々高い位置からスタートしてさらに単価を上げていくので、私たちの価格はいい意味で「追いつかない」んですよ。価格差は縮まるどころか、今後さらに広がっていくと思います。もちろん、全く価格が変わらないという意味ではありません。今後変化する可能性はゼロではありませんが、驚くような変化にはならないと思います。

──価格へのこだわりは、Zohoを検討する方にどう影響するのでしょうか。

服部:一番大きな影響として表れているのは、営業が一切介入しなくても、お客様がご自身で選んで導入してくださるケースが非常に多いということです。実際、ゾーホーの日本市場はこれまでインバウンドを中心に成長しています。

日本でまだ本格的なサポートを展開していない製品でさえ、見つけていただきセルフサーブで利用いただけているんですよ。それだけ製品の価値と価格のバランスに納得し、「まずは使ってみよう」と一歩を踏み出せるものになっているのだと手応えを感じています。

──営業組織としては、お客様にお伝えしている大事なことは何でしょうか?

服部:ただ単に「製品が豊富で安いですよ」と言うだけではなく、「なぜ上場しないのか」「なぜこの適正価格なのか」という、ゾーホーという会社の理念からお話しするようにしています。その上で、お客様の事業状況を的確に捉え、潜在的な経営・事業課題を見つけ出し、解決に向けた仮説を立て、具体的な方法を提供することも重要だと考えています。私たちの根底の姿勢を知っていただくことで、お客様も安心して、長くパートナーとして選んでいただけると思いますね。

──選びやすい価格だからこそ、価値訴求と課題解決へ向き合う姿勢を崩さない、というこうとですね。

服部: そのとおりです。

政府が信頼するセキュリティへの取り組み

──ゾーホーはセキュリティ面にも力を入れていると伺っています。

服部:もちろんです。例えばインフラについても、他社のクラウドサービスに依存するのではなく、2022年2月から*日本国内の自社データセンターでの運用を開始しています。

150人規模の日本法人でデータセンターを日本に置いています。AWSやIBMだって、日本にデータセンターを構えるのは結構遅かったんです。巨大企業でも「アジアでまとめて」とするところを、Zohoは日本に置いた。お客様のプライバシーを守るということを本当に優先しているんだなと、この意思決定が示していると思います。日本国内のお客様にも安心して使ってもらいたいですからね。

本社があるインドではインド政府がZohoを利用しています。政府の信頼を得ているという点では、安心していただけると思います。

──インド政府での利用もあり、かつ日本国内にデータセンターを置いているという点は安心できますね。

服部:そうですね。

──AI開発においても、セキュリティというワードが出てきました。

服部:会社の原点がManageEngine事業ですからね。大切なお客様のデータを預かっているのに、他社LLMが原因でインシデントがあってはいけないと思っています。だからAI開発スピードを他社と比較せず、お客様のデータの重要性を考え抜き、慎重に開発することがゾーホーの考えです。この一番重要な土台を自分たちの手で責任を持って築くことこそが、ゾーホーのお客様に対する何よりの誠意だと考えています。もちろんこの後(AI機能も)広がっていきますので、ご安心ください。

──すでにZia(Zohoの独自LLMの名称)ではメールの自動作成や、レコード要約機能、Zoho Creatorにおけるアプリ作成機能が存在しています。安全性に加えて実用性も高いので、さらに期待したいと思います。

より多くの方へ、認知拡大への挑戦

──ゾーホーの認知拡大や展開について、服部さんが入社されてから大きく変わった点はありますか?

服部:入社して思ったことは、「この会社は有名にしなきゃいけない」ということでしたね。

ゾーホーに転職をしてお世話になった皆様に挨拶に行くと、皆様から「何の会社か知らない」と言われました。私が知っているエンタープライズ市場の人たちからすれば、まだゾーホーをご存じないケースが多かったんですよ(笑)。そもそも比較の土台にうちの名前がないわけですから。「ゾーホーって何ですか?」から始まってしまうので、「もっと(名前を)出していこう」という戦略をとっています。各都心の主要駅の駅ジャック広告など、今後もお目にかかれる機会は増えてくると思います。

あとは、デジタルやマスの認知だけではなくて、直接知って頂く機会も重要だと考えています。会社として外部団体へ参画していく、というのも変わった点ですね。積極的に顔を出して、やっぱり知名度を上げていこうと。製品には自信があるので、地道ですけど、じわじわっと「ゾーホーって何?」っていうところを何十社、何百社に知っていただこうかと思ってます。

日本は今後も注力していく市場です。本社でも重要な拠点として捉えられていて、例えばLINEとZohoの連携や、名刺管理ツールの連携など、日本市場に合わせた独自の連携開発もZohoが行っています。

──最後に、読者へのメッセージをお願いします。

服部:今、「SaaS is Dead(SaaSの死)」なんて言われてますが、クラウドが出てきたらオンプレがなくなる、ノーコードが出てきたら開発者はいらないって言われたのと同じで、選択肢が追加されただけじゃないですか。

各ソリューションが時代に対応できるよう、我々も日々進化しています。逆に今のSaaSが死んだとしても、その時は組織が変わればいいだけです。

ゾーホーとしてはお客様の課題解決をやっていきましょうと。自分たちで作り上げるノウハウも、そのための組織力もありますから、そのタイミングでどんどんゾーホーが変わっていくと思います。

プロダクトにこだわるのではなく、お客様のための解決策を提供することを大事にしていきたいと思ってます。

だから、もう入力画面がどうこうではなく、親しみのあるロボットがいて、歩く補助やITも含めてサポートするパートナーができていくんじゃないかと個人的には思っています。もしかしたらゾーホーが作ってるかもしれないですね(笑)。 まだまだ時間はかかりますけど、ゾーホーをもっと有名にしていきますので、ぜひ期待して追いかけてください。


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